日本銀行の黒田東彦総裁は4月30日の記者会見で、2%のインフレ目標が実現できるという強い自信を示し、現在の3.6%という完全失業率は「構造失業率に近づいているか、ほぼ等しい」と述べた。構造的失業率というのは、経済学では自然失業率と呼ばれる。これは安定して維持できる失業率という意味だが、それに等しい状態で中央銀行が金融緩和を続けるのは奇妙な話だ。 例えばアメリカの完全失業率は6.3%で、自然失業率とされる6%よりまだ高いが、ジャネット・イエレン議長は量的緩和を縮小する出口戦略を表明した。それはFRB(連邦準備制度理事会)の設定した6.5%という失業率目標を下回ったからだ。黒田総裁のお得意の「世界標準」で言えば、自然失業率に達したのなら量的緩和はやめるのが常識である。 人手不足なのに実質賃金は下がる 世の中では、失業どころか人手不足が深刻になっている。特にひどいのが、建設業と飲食業だ。建設の場
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