校長室に復元された金次郎像。寄贈した地域のお年寄りたちは「歴史を学ぶ教材に」と願う=大津市立下阪本小で、安部拓輝撮影 まきを背負って本を読むおなじみの二宮金次郎(尊徳)像。戦前に全国の小学校に建立されたが、老朽化などに伴い各地で撤去が進む。大津市の小学校でも3カ所で破損が見つかったが、「児童の教育方針にそぐわない」との意見もあり、市教委は補修に難色を示す。受難の時代を迎えた金次郎像だが、質素倹約や勤勉の精神を伝えると再評価する動きも一方である。 大津市立下阪本小では昨夏、玄関前の像が倒れ、撤去した。地元自治連合会が復元を申し出たが、学校側と協議して復元するものの校長室への“隠居”が決まった。教諭の一人は「努力を尊ぶ姿勢は受け継ぎたいが、子どもが働く姿を勧めることはできない」と話す。昨年12月の復元像の除幕式では、卒業生のお年寄りから「子どもたちの前から消えるのは寂しい」と惜しむ声が漏れた。