筆者は、20歳前後の頃、『ジャパニーズ・マインド』(ロバート・C・クリストファー著、徳山二郎訳、講談社、1983年)という書を読んだことがある。それは、80年代に日本の経済隆盛を受けて出された多くの「日本論」の一つであった。 ≪竹島上陸に見える甘えの構造≫ 書中、若き日の筆者に強い印象を残したのは、「日本人のナショナリズムに一旦、火が点(つ)いたら、もはや手が付けられない」という趣旨の記述であった。この書が書かれた頃から30年の時間がたった今、「日本人のナショナリズムは、手が付けられない」という往時の観測が正しいのかと問いを発するのは、大事であろう。 特に中国や韓国では、政治指導層にせよ一般国民にせよ、日本の「ナショナリズム」はどのようなものだとみられているのか。彼らは「怖い」とみているのか、「大したことがない」とみているか。これが今後の東アジア情勢を観察する材料にはなるであろう。 という