動画にコメントを付けられるニワンゴのサービス「ニコニコ動画」γ版が、ユーザー限定のクローズドサービスにも関わらず人気を集めている。1日あたりのページビューは約2000万に上り、動画の累計再生数は2億に迫っている。 動画の内容やコミュニケーションの形も進化している。複数の動画を組み合わせた“マッシュアップ”が一般化してきたほか、面白いコメント付き動画がYouTubeに“輸出”されたり、動画とコメントを使ったアンケートが行われたり――ニコニコ動画がなければありえなかったコンテンツが、続々と生まれている。 2月まで公開していた「β版」は、YouTubeを中心とした外部の動画配信を利用し、誰でもアクセスできるオープンサイトとして運営していたが、YouTubeからのアクセスしゃ断を受けて2月末に閉鎖。3月に公開した「γ版」は独自の動画配信サイト「SMILEVIDEO」を構築してYouTubeの利用を
ITmedia Newsの某記者(34)が購入した「初音ミク」のパッケージ(写真右)。DTMは10年ぶりといい、1晩で1曲作り上げた。「思ってたよりははるかに簡単だったが、チューンナップしていたらキリがなさそう」 「買ってから数日は、毎日曲を作ってた。リビングのPCに(鍵盤の)キーボードをつないで。音声が出るから家族に不審な目で見られるけど、それも気にならないくらい楽しい」――20年ほど前のDTM(デスクトップ・ミュージック)ブームを知る男性(48)は、「初音ミク」購入をきっかけに久々に楽曲作成にチャレンジし、すっかりハマってしまったと話す。「人の声で歌う歌が作れるのが楽しくて」 初音ミクは、メロディーと歌詞を入力すれば、アイドル風合成音声で歌う歌声制作ソフト。ヤマハの音声合成技術「VOCALOID 2」と声優の藤田咲さんの声を組み合わせた(関連記事参照)。ミクは「歌うアンドロイド」という
ニワンゴは11月28日、「ニコニコ動画」のユーザーインタフェースを活用し、同じテレビ番組を見ている視聴者同士でリアルタイムにコメントを共有できる「ニコニコ実況」の正式サービスを始めた。 真っ暗な画面上で実況コメントを共有できるほか、テレビチューナー付きPCならテレビ番組画面にコメントを重ねることも可能。コメントを表示できるネットテレビも年内に登場する予定だ。「実況というカテゴリーで2ちゃんねるを超えるのが目標」と、開発したドワンゴの永野想さんは話す。 関東キー局とTOKYO MXの8チャンネルに対応した。チャンネルを選ぶと、ニコ動再生画面の映像部分を真っ黒にした画面が現れ、そのチャンネルを視聴中のユーザーが入力したコメントがリアルタイムで流れる。携帯電話にも対応。縦長の端末でも見やすいよう横書きのコメントが上から下に流れる仕様だ。 画面の部分を透明にしたPC用アプリケーションも提供する。テ
動画にコメントが付けられるサイト「ニコニコ動画」の商品販売コーナー「ニコニコ市場(仮)」が人気だ。7月12日にスタートしたばかりだが、7月28、29日の土日だけで3600点が購入され、売り上げは右肩上がりに増えている。 ニコニコ市場は、動画に関連する商品をAmazon.co.jpからユーザーが検索し、動画の直下にアフィリエイトリンクを貼り付けるというもの。商品を選ぶのもユーザーなら買うのもユーザー。商品リンクのクリック数や購入数も表示され、“広告効果”も確認できる。 「何でそんな商品貼り付けるんだよ」「しかも買うのかよ」「売れすぎだよ!」――商品やクリック数、購入数を見たユーザーが、動画にこんなコメントを書き込むことも。コメントを見たユーザーが商品に気付いてネタとして購入したり、買った商品を紹介する動画を公開するなど、市場を起点に新しいネタが生まれ、動画をさらに面白くしている。 購入数ラン
「みんなが想像している方向に行っても、仕方ないじゃないですか」――ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏は3月5日、同日リニューアルした「ニコニコ動画 SP1」の発表会見で、ニコニコ動画の進化の方向性についてこう話した。ニコ動は、ほかの動画共有サイトにはない機能を追加し、「独自の進化」を目指していくという。 SP1では新たに、ユーザー向けの公式動画作成ツール「ニコニコムービーメーカー」の無償配布を始めたほか、動画にインタラクティブ機能を追加できる「ニコスクリプト」を強化。ユーザーが一斉にゲームをプレイできる機能も「ニコ割」に追加するなど、他社サイトにはない独自機能を多数盛り込んでいる(→新機能に関する詳細記事)。 同時に、初心者用のチュートリアルページを新設するなどユーザーのすそ野を広げ、間口の広いサービスを目指す。 また、同日からH.264に対応。従来よりも高画質な動画を楽しめるようにな
ニワンゴは、「ニコニコ動画(ββ)」を約1年ぶりにメジャーバージョンアップし、「ニコニコ動画(9)」として10月29日午前9時半に公開する。 ユーザーインタフェースを改善するほか、THE IDOLM@STER(アイマス)、VOCALOID(ボカロ)、東方Projectの“御三家”コンテンツを別枠で扱うなどして隔離。御三家に興味がない人でも取っつきやすくするなど、“ニコ厨”でない一般のユーザーに使いやすいようにした。 「アイマス、東方、ボカロ」で1カテゴリーに 複雑になっていたユーザーインタフェースを改善。トップページにはこれまで、27ものカテゴリーを表示していたが、新版では6つの「カテゴリーグループ」のみを表示し、シンプルな構成にする。 カテゴリーグループは、「エンタ・音楽・スポーツ」「政治」「アニメ・ゲーム」「やってみた」「教養・生活」「アイマス、東方、ボカロ」。視聴ランキングもカテゴリ
ドワンゴは11月6日、2008年9月期の連結業績予想を下方修正し、17億1000万円の最終赤字(前期は14億800万円の最終赤字)となる見通しだと発表した。従来予想は損益とんとん。ゲームや「ニコニコ動画」(ニコ動)ビジネスが目標を下回った。 修正後の売上高は前年同期比12.2%増の249億7000万円(従来見通しは268億円)、営業利益は70.1%減の1億1000万円(4億円)、経常利益は68.5%減の1億円(4億円)。 ゲーム事業の販売計画本数やニコ動の有料会員「プレミアム会員」数が目標に達しなかった。今期末(9月末)のプレミアム会員数目標は50万人だったが、約20万3000人にとどまっている(ニコ動930万会員に 有料会員減、黒字化策は)。 ニコ動の無料会員数は目標の900万人を越え、経費も計画通りに推移したものの、急成長に合わせたサーバの増設やインフラ費用、09年9月期から始める本格
ドワンゴとヤフーは5月9日、ドワンゴ子会社・ニワンゴが運営する「ニコニコ動画」とヤフーの各サービスで、包括的に協業すると発表した。ニコニコ動画は国内最大の動画投稿コミュニティーだが、女性や30代以上の層へのリーチや収益力が弱く、日本一のユーザーベースや強力な広告インフラを持つヤフーは、Web2.0型コミュニティーへの取り組みが課題。それぞれの弱点を補いつつ、新しいビジネスモデルを模索していく。 左からヤフーの喜多埜裕明COO、ドワンゴの小林宏社長、ニワンゴの杉本誠司社長。小林社長は「日本のネット業界をけん引してきたヤフーと、サービス開始して1年ちょっとのニコニコ動画が連携できることを感慨深く、うれしく思っている」と話した まずは同日から、動画の直下に商品リンクを張り付けられる「ニコニコ市場」に、「Yahoo!ショッピング」の商品を掲載。今後、「Yahoo!オークション」との連携や、Yaho
「動画上で行う非同期コミュニケーションを普及させたい」――ニコニコ動画開発の出発点は、そんな思いだったという。「でも、流行るかどうかわからなかったので」開発は小さくスタートした。ドワンゴの戀塚(こいづか)昭彦さんが、1人でプロトタイプを開発。昨年末、最初に公開した「ニコニコ動画(仮)」は、戀塚さんと、同社の鈴木慎之介さんの2人で開発した。 アドビシステムズが11月1日開いた開発者向けイベント「Adobe MAX Japan 2007」に戀塚さんが登場し、Flashを使ったサービスとしてニコニコ動画を紹介。「みんながちょっとずつ参加できる」のが人気の秘密と語り、コメント機能がサービスのキモだと位置づける。「アイデア一発のサービスにしては、細かい調整に手間がかかってます」 ニコニコ動画は「視聴者の力が大きい」メディア ニコニコ動画の人気の秘密は「みんながいろんな手段で少しずつ参加できる」ことだ
「ニコ動作家はもうけちゃダメ?」「才能、無駄遣いしていいの?」:座談会 UGCの可能性を考える(前編)(1/4 ページ) YouTubeやニコニコ動画など動画投稿サイトが一般化し、音楽・動画をネットに公開する無名・匿名の人々の存在感が増してきた。彼らの作品――いわゆるUGC(User Generated Content)の数や質を、エンターテインメント産業も無視できない状況になりつつある。 その一方で、クリエイターとエンターテインメント産業、作品を楽しむユーザーは三者三様に異なる価値観を持っており、軋轢(あつれき)が生じることも少なくない。例えば楽曲「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」の日本音楽著作権協会(JASRAC)信託をめぐって昨年末に起きたトラブル*1は、プロを前提に作られた既存の制度とUGCとの矛盾を浮き彫りにした。 UGCのクリエイターが幸せに創り続けるにはどうすればいいか
「大好きなんです! 握手して下さい。サインも……」「いいですよ」 見知らぬ女の子に声をかけられ、かばんをたぐり寄せる。筆ペンを取り出して「初音ミク」のイラストを描き、「ワンカップP」と書き添えて手渡す。 「この歳になってチヤホヤされることになるなんて。自分でも不思議で、信じられない」 筆ペンでサインする。筆ペンは、以前焼き物にハマっていた時、絵付けの練習のために購入したものだが、焼き物には飽きてしまった。多趣味で飽きやすいと自嘲する 愛知県に住む36歳の会社員だが、昨年突然、人気者になった。「ニコニコ動画」に「初音ミク」「MEIKO」で作った歌を投稿したこところ人気を呼び、ファンが付いたのだ。mixiにあるファンコミュニティーには、2000人近くが参加している。 ニコニコ動画に投稿した楽曲のうち1つは、絵本付きでCDになることが決まった。楽曲に付けた動画に描いていたイラストが編集者の目に留
「ニコニコ動画はたまたま当たったと思っている人は多いだろう。危ないところに踏み込んだから成功したと思いたがる人もいるだろうが、そうではない」――ニコニコ動画を運営するドワンゴの川上量生(のぶお)会長は言う。 才能ある技術者1人が思いつきで作り、大ヒットしたネットサービスは少なくない。ネット業界では、そんなサービスや開発ストーリーがもてはやされる傾向もある。だがニコ動は全く違った。 社内で半年にわたる議論を重ね、プロトタイプを作り、あらゆるリスクを考え、準備万端でリリースしたのだ。 モバゲーを作りたかった 2006年始めごろ、ドワンゴは次の一手に悩んでいた。 過去には携帯ゲームや着メロ、着ボイスでヒットを飛ばしていたが、着うたの急拡大で着メロが失速し、06年の連結決算が赤字に転落。次の手は待ったなしだった。 チャレンジは繰り返していた。携帯向けのストリーミング放送サービス「パケラジ」や、携帯
「ニコニコ動画」で、気に入った動画や投稿した動画を、有料ポイントを使って宣伝できる機能「ニコニ広告」がこのほどスタートした。有料の「ニコニコポイント」を使い、宣伝したい動画を検索結果ページなどで目立たせることができる。 「“御三家”以外の動画を目立たせたくて」と、ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏は狙いを語る。御三家とは、「THE IDOLM@STER」「東方Project」と、初音ミクなどの「VOCALOID」。ニコ動のヘビーユーザーに人気で、通常のランキングではこれらが上位を独占する傾向にある。 だがこれらは、ゲームやアニメ系に興味がない一般の人が楽しめるコンテンツではない。ユーザー増に向けて「一般化」を目指しているニコ動にとって、御三家ファン以外でも楽しめる“入り口”作りが課題だった。 ニコニ広告を使えば、これまで御三家の影に隠れて目立たなかった面白動画を、検索やランキングなどで
「かわいい」「うまい」「まるで違和感がない」――バーチャルアイドル「初音ミク」が歌った楽曲が、「ニコニコ動画」で人気だ。初音ミクはメロディと歌詞を入力すると、合成音声で歌う楽曲制作ソフト。うまく設定してやると、合成とはにわかに信じられないほどなめらかで自然に歌い上げる。 人間の声を元にリアルな歌声の合成音を作ることができるヤマハの技術「VOCALOID 2」を活用し、クリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)が企画、制作して8月31日に発売した。Amazon.co.jpでは1万5750円で販売しており、ソフトウェアランキングで9月12日現在1位をキープ。異例の売れ行きで、生産が追いつかない状態だ。 12日までの販売数は、予約を含めて3000本近い。1本当たりの平均200~300本程度、1000本売れれば大ヒットと言われる音楽制作ソフト市場で「ありえない本数」と、企画・制作を担当した同社の
巨大掲示板「2ちゃんねる」(2ch)のユーザーは高齢化する一方、「ニコニコ動画」(ニコ動)ユーザーはリア厨だ――こんなイメージが数字で裏付けられた。 ネットレイティングスの調査結果(9月月間、家庭からのアクセス)によると、2ch利用者は40代が30.31%、30代が28.29%で、30~40代が6割を占めた。 30~40代はネットユーザーのボリュームゾーンで、どのサイトでもこの世代が多くなりがちという。だが、その偏りを補正した「利用者構成比指数」(そのサイトを訪問する特定の年齢層/性別のユーザーが、ネットユーザー全体平均より多いか少ないか分かる指標。平均と等しい場合は100)で見ても、30~40代のユーザーが平均値の100を上回っている。 ニコ動は中高生に人気だ。13~19歳が25.99%(13~15歳が12.31%、16~19歳が13.68%)と4分の1を占め、構成比指数で見ても13~1
若年層のテレビ離れが進んでいる。野村総合研究所(NRI)の調査で「テレビがなくなっても構わない」と答えた人の割合は20~29歳で24%、15~19歳は33%と3分の1に達した。 テレビで放送されているコンテンツをリアルタイムで見るというスタイルが、HDDレコーダーや動画共有サイトの普及で大きく変わってきている。テレビの視聴率も低減傾向。DVDやCD、書籍などのコンテンツパッケージ市場も振るわず、コンテンツ産業は岐路に立っている。 「コンテンツ市場はどうすれば成長できるか」――NRIは2月5日、2015年に向けたメディアやコンテンツの変革シナリオを「こうあってほしいという理想も含めて」(同社情報・通信コンサルティング部の中村博之上級コンサルタント)提示した。そこで示した「未来のテレビの理想像」は、「ニコニコ動画」「YouTube」などネットサービスにある機能がいくつも取り込まれている。 「テ
歌うのは、お風呂に入っている時の鼻歌ぐらい。人前で歌うのは恥ずかしいから、カラオケにもほとんど行かない。歌は下手だと思っていた。 そんな彼女が歌声を届け始めたのは、日本のニコニコ動画ユーザーの優しさに感動したから。透んだ声が今、「ニコ厨」たちの心に響く。 ハンドルネームは「ほんこーん」。香港に住む高校3年生・18歳の女の子だ。母語は中国語だが、日本語を話し、丁寧な日本語で歌う。 遊びで「組曲『ニコニコ動画』」を歌い、日本人へのメッセージを添えてニコニコ動画に投稿した。それっきりのつもりだったが、日本人からの優しいコメントがうれしくて、歌い続けた。 歌い始めて1年も経たないが、急激に成長した。どんどんうまくなっていく自分に、自分でも驚く。「歌手になりたい」。今はそう思う。
「見通しは明るいと、僕らは思ってるんですけどねぇ」――「ニコニコ動画」が1000万ユーザーを突破し、人気は健在だ。 その一方で運営は赤字続きで、月間1億円の赤字が出ているという。世界同時不況はネット業界も例外ではなく、ニコ動を取り巻く環境は厳しいはずだが、ニワンゴの取締役の西村博之(ひろゆき)氏は冒頭のように強気だ。 12月12日にスタートする新版「ββ」(ダブルベータ)では、パートナーのコンテンツ企業を121社に増やしたほか、コストをかけて新機能を大量に詰め込み、「だれも欲しいと言っていないサービス」まで投入した。ββの発表会「ニコニコ大会議2008冬」には前回の4割増しという7000万円もの予算を投入している。 パートナー企業強化やββの新機能の狙いは何か、赤字続きの運営の見通しは、ニコ動は何を目指すのか――ひろゆき氏に聞いてみた。 ――赤字なのに大丈夫ですか? 「ニコニコ大会議」もま
日本音楽著作権協会(JASRAC)は10月30日、ニワンゴが運営する「ニコニコ動画」と、米Google傘下の「YouTube」上で使用されているJASRAC管理楽曲の利用料を、それぞれの運営企業から支払ってもらう契約締結に向けて協議に入ったことを明らかにした。年内にも暫定的な契約を結ぶ予定だ。 契約を結べば、一般ユーザーが音楽会やライブなどでJASRAC管理楽曲を演奏した映像や、レコード会社が公式に配信する楽曲などを、両サイトに合法的にアップロードできようになる。 料率など詳細については検討中。JASRACが動画投稿サイトの楽曲利用条件の中に示した、「一般娯楽番組」(サイト収入の2.0%)の基準を軸に検討を進める。 両サイトは、利用された楽曲やリクエスト回数などをJASRACに報告する。 両サイトにはこれまで、大量のJASRAC管理楽曲付き動画が無断で投稿されてきた。「過去分の利用料精算で
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