国と製薬会社が33億円を投じ、認知症の7割を占めるアルツハイマー病の早期発見を目指す国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」で、臨床試験のデータが改ざんされた可能性が浮上し、厚生労働省は調査を始めた。一定の時間を経た後に記憶を確かめる検査で時間を書き換えたり、不都合な症状を削除したりしていた疑いがある。先端医療を巡る国際競争が過熱する中で、日本の研究への信用が失われかねない事態だ。 J―ADNIはアルツハイマー病の兆候を調べ、早期治療や新薬開発に役立てるのが目的。物忘れなどの症状と脳画像や血液との関連を研究する。これまで経済産業省、厚労省、文部科学省が計24億円、製薬会社11社が計9億円を支出し、認知症研究の第一人者である東大の岩坪威教授(神経病理学)を代表に全国38の医療施設が参加。製薬会社などがつくる「バイオテクノロジー開発技術研究組合」が事務局を担う。 改ざんの疑いがあるのは、20