人口1億2700万人を抱える日本が、急増するホームレスの存在を無視できなくなりつつある。ホームレスの増加は統計が示す以上に日本のリセッション(景気後退)が深刻であることを示す端的な例である。 ≪ホームレスの現実≫ 大阪の繁華街にある高級ブランドショップ近くに腰を下ろすホームレスの姿は、日本が世界2位の経済大国、アジアで最も豊かな国であることを考えると、いかにも不釣り合いだ。彼らの自活を支援する英誌「ビッグイシュー」の日本版を売る51歳の男性は、かつて海運業界で働いていたが、今は日々の食べ物にも困っている。「この300円の雑誌を売るのが難しい」。男性は行き交う人が自分の存在に気付かないふりをし、素通りしていくと訴えた。 人口264万人の大阪市によれば市内のホームレスの数は4024人。2003年は7757人だから減少傾向にあるという。だが、大阪市西成区のあいりん地区を歩けば、同市は