5日前、急遽有休をとり 娘とふたり新幹線にとびのり駆けつけた うちから片道5時間だった 義父の入院する病院。 息苦しげな義父の目は宙をさまよい、 もはや義母のことも 私と娘のことも とらえていないように見えた。 病室に入るまではずみ足だった娘は、 困ったように強張った笑みをうかべながら 義父の横たわるベッドから距離をとった。 義母の呼びかけに反応をしない義父に、 私は大きな声で呼びかけた。 「おとうさん、もうすぐこの子、 2年生になりますよ」 と言ったとき、 義父はその日はじめて 口もとをほころばせ、 ううっとうなるように返事をした。 壁にくっついていた娘が 「あっ」と小さな歓声をもらすのが きこえた。 「痛みがない奇跡の癌だと先生は言うのよ、 それが救いだと思って」 と病室をでてカフェに移動してから、 義母は涙ぐんだ。 そのすぐあとには 同居する義父の母について いつもの調子で毒づいて笑