2023年、少し嬉しいかもと思ったのが、日本におけるレイヴ・カルチャー再燃(しているらしい話)だった。え、まさか、ほんと? 人間歳を取ると無邪気さが減少しシニカルになり、老害化することは自分を見ていてもわかる。文化とは、上書きされ、アップデートしていくものだし、ぼくはこんにちの現場を知らないから、そもそも「再燃」について何か言える立場ではない。しかしぼくにも言えることがある。いまから30年以上前の、オリジナルなレイヴ・カルチャーの話だ。当時のリアル体験者のひとりとして、その場にいた当事者のひとりとして、それがどんなものだったのかを(ある程度のところまで)記しておくことも無益ではないだろう。 かつて、それがレイヴかどうかを判断するのは簡単だった。足がガクガクになるほど踊ったあとの朝の帰り道に、あるいは数日後に、「ところで誰がDJだったの?」、これがレイヴだった。たとえば、クラブでもフジロック