マヤンバは、鉱山で採掘の仕事をしている。 かつてある地質学者は、コルウェジの豊かな鉱物資源を「地質学を揺るがすスキャンダル」と称した。それほどこの街の赤色の土には、豊かな鉱物資源が眠っているのだ。 アフリカのこの辺鄙な土地に、いま世界中の企業が殺到している。彼らの目的は、充電式のリチウムイオン電池に欠かせない鉱物であるコバルトだ。いまや誰もが持っているアップルやサムスンのスマートフォンやノートパソコン、主要自動車メーカーが製造する電気自動車もこのリチウムイオン電池で動いている。 とはいえ、マヤンバ本人は巨大なグローバルサプライチェーンの枠組みのなかで、自分がどんな役割を果たしているのかがよくわかっていないようだ。 彼は、妻と一人息子と暮らしている。 いつも通り部屋の片隅から、シャベルと先端が壊れたハンマーを取り出し、埃で汚れたジャケットを着た。マヤンバはプライドが高く、採掘の仕事に出かける
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