クリエイターとおかね 第1回前編 まれに「家を建てるために小説を書いた」という人もいますが、本来、クリエイターとおかねは縁が薄いもの。例えば貧乏で有名だったのが樋口一葉で、この人の日記を読むと「昨日より、家のうちに金といふもの一銭もなし」という文章が出てきて泣けます。これだけお金に縁のなかった人が後にお札になるとは、運命とは皮肉ですね。 この連載では、いろんな分野のクリエイターに登場していただき、「お金」についてガチに本音をうかがってみたいと思います。 第1回にご登場いただくのは、マンガ家ユニット「うめ」で原作、演出を担当する小沢高広さん。 経団連の会長が「もう終身雇用は維持できない」と発言したことが話題になりましたが、社会の実感としては、そんなモデルはとっくに過去のものではないでしょうか。 マンガの世界でも、かつては「商業は出版社に任せ、作家はそこに口を出さないのが美学」という風土があり