水林章(72)はフランス語の著作『彷徨礼讃』(2014 未邦訳)のなかで次のように述べている。 「人は自分の出生の条件に関する一切を選ぶことのできないまことに不自由な存在だが、言語については母語以外の言語を選ぶ自由を行使できる」 水林は出自のうえでは紛れもなく日本人だが、2011年以降、18歳のときから学びはじめたフランス語で自らを表現する著作家になった。いまではフランス語表現作家の一人として、広く知られている。水林の著作の大半は白地の装丁が特徴のガリマール社から出ており、パリの書店の新刊コーナーでもひときわ目を引く。 パリと東京を行き来し2つの言語で夢を見る水林は、12年前からフランス語で書くことに専心している(註:12年にわたって日本語を「留守」にしたあと、水林は2023年9月に『日本語に生まれること、フランス語を生きること』という日本語と日本社会をめぐる評論を上梓している)。 202
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