■事故から3か月、亡き夫の形見のバイクに向き合った妻の悲痛 「今日、覚悟を決めて警察署に出向き、主人が乗っていたバイクの写真を撮ってきました。対応してくださった警察官は『こんなに酷い状態の事故車を見るのは初めてだ』と言っていました。改めて主人の無念さが伝わってきました……」 そう語るのは、栃木県宇都宮市の佐々木多恵子さん(58)です。 送られてきた写真を見て、私は一瞬言葉を失いました。 警察署に保管されているという白いスクーターは、リヤショックがちぎれ、フレームが持ち上げられたことで、車体がVの字に折れ曲がっています。 本来、路面とほぼ平行であるはずのシートは大きく跳ね上がって上を向き、もはやライダーが乗るスペースはどこにもありません。 さらに、取り残されたリヤタイヤをよく見てみると、アルミ製の硬質なホイールが砕けているではありませんか。 警察署に保管されている被害者のバイク(遺族提供)