役員報酬を巡る不透明さがもたらす最大の問題。それは、投資家や社員に「本当に経営者が、企業価値の最大化を志向しているのか」という疑念を抱かせ、投資意欲の減退や、モチベーションの低下につながることだ。日本の役員報酬体系は、基本報酬の割合が大きく、業績連動の変動報酬の割合が少ないことが一般的なため、こうした疑念を生む。 高度成長期は、こうした疑念があったとしても、それほど大きな問題にはならかった。日本経済全体が成長する中、社内や業界秩序に通じた経営者が大過なく舵取りすれば、それなりの業績を上げられたからだ。だが、景気が低迷し、期待通りの業績が上げられなくなれば、経営責任を負う役員に、より厳しい目が向けられるようになるのは自然の流れだ。 こうした中、「役員報酬の怪」からの決別を目指す企業がいる。なぜその金額になるのかを積極的に開示し、それが株主や社員、顧客の納得を得られる水準であるならば、高いから