「ダーク・レディー」 「暗い女性研究者」と呼ばれていた「ロザリンド・フランクリン」。 しかし、そう呼んだのは彼女と慢性的な「冷戦関係」にあったボスである。それゆえ、本当に彼女が陰湿であったかどうかは定かではない。 いや、むしろ「優秀すぎた」のであろう。 幼少の頃から「最高の教育」を受けた彼女は、名門ケンブリッジ大学に難なく進学。成績は常にトップクラスで博士号を修得。 その後、ロンドン大学(キングズ・カレッジ)の研究所に入る彼女であるが、この研究所のボス「ウィルキンズ」と馬が合わず、「事あるごとに衝突していた」。 曖昧さや一切の妥協を許さないフランクリンに、ホトホト手を焼いたボス・ウィルキンズ。それゆえ、陰で彼女を「ダーク・レディー(暗い女性研究者)」と呼んだのだ。 フランクリンはフランクリンで、ウィルキンズがいつもボス面をするのが気に入らない。彼女には自身が「独立した研究者」だという自負が