これから冬にかけ、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する「ツインデミック」が不安視される中、我々ができるささやかな防衛策は手洗い、うがいやマスク、そしてインフルエンザの予防注射を打つことくらいだろう。 「全集中」――。 巷間、あちこちのクリニックでは予防接種のために親と訪れた子どもに対し、こんな言葉が投げかけられている。すると、それまで泣き叫んでいた子どもは呼吸を整え、恐怖の対象でしかない注射針の先端が我が身に刺さることを静かに受け入れるのだという。 この「全集中」とは、公開10日で国内の映画史上最速、興行収入100億円を突破し、空前のブームとなっている映画「鬼滅の刃」に出てくる台詞である。 もともと2016年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載されていたこの作品。内容を簡単に説明すると、舞台は大正時代、家族を鬼に喰い殺され、唯一生き残った妹を鬼にされた主人公・竈門炭治郎(