今さらながらに鳩山由紀夫元首相の慧眼(けいがん)ぶりに驚く。鳩山氏は小沢一郎氏が民主党を割って新党を結成した今日の事態を見通していたかのように、平成11年2月の夕刊フジのコラムでこう述べていた。 「結局、小沢氏が5年前に自民党を飛び出したのは自民党内の派閥内や権力闘争に敗れて飛び出しただけで、国民にそれを悟らせないために『政治改革』の旗を掲げていただけ」 見せかけの反増税 今回も事の本質は変わるまい。小沢氏は野田佳彦首相との権力闘争に敗れ、民主党に残っても主導権は握れないと考え離党したのだろう。小沢氏が掲げる消費税増税反対はたとえその主張に一定の「理」があっても、結局はただの目くらましだとしか映らない。 政権交代後わずか3カ月余の21年12月、公約のガソリン税の暫定税率廃止について「現状維持が国民の声だ」として鳩山氏に撤回させたのは小沢氏だ。自身が代表時の19年秋には、「消費税を増税しよう