第27回 日本陸軍のために存在した商社と阿片ビジネス 山本常雄 著『阿片と大砲 -陸軍昭和通商の7年-』(PMC出版) 星一から始めた阿片関連の読書がすっかり面白くなってしまい、図書館から本を借りてはああだこうだと読み進めている。 阿片は習慣性と毒性とで消費者を地獄に叩き込み、社会を衰弱させる一方で、その習慣性故に供給者には確実な利益を約束する。「確実な破滅を供給しつつ確実な利益を約束する」のだから、阿片ビジネスはその時々の人間社会の倫理のありようを反映することになる。 阿片を商うということは、「他人を踏みつけにして良い理屈を、その組織や社会が持っている」ことを意味する。第二次世界大戦の敗戦を迎えるまでの日本は、政府機関が裏金のために阿片を商っていたのだから、おせじにも時代を超えた倫理性を備えた組織・社会であるとはいえない。つまり阿片を調べていくと、「とても格好悪くて、倫理的とは言えない昔