記録をとる 読書は難しい。しかし、記録をとることはそれよりずっと難しい。僕らは一冊の本に目を通すたびに言いたい文脈や、頭の奥に残る風景が積もる。それは都心に降る新雪のようで、積もるたびにすぐに溶けてなくなってしまう。いくら読んだ本を指折り数えても、アスファルトは以前として灰色のままだ。 人は忘れる生き物だ。それは仕方のないことだ。一部の天才を除いて、見聞きしたことをそっくりそのまま覚えていられる人は存在しない。「それでも僕は、私は覚えていたいんだ」。それなら外部記憶を味方につけよう。PCにバックアップをとるように、人間にもUSBメモリや外付けHDDが必要だ。 何を使えばいいか。京大式カードである。 京大式カードを使った読書記録は、梅棹忠夫が自身の著作である『知的生産の技術』で述べている。 京大式カードとは、B6の大きさに何本かの罫線が引かれているカードである。やや厚めで保存も容易だ。見たと