終バスが行った後の「幡ケ谷原町」バス停。椅子の位置が高くて、とても小さい=1月21日深夜、東京都渋谷区幡ケ谷2丁目 所持金は8円。携帯電話も持っていたが、電源が入らない状態だった。 昨年11月16日未明、東京都渋谷区幡ケ谷の「幡ケ谷原町」バス停で、路上生活をしていたとみられる大林三佐子さん(64)が、近所に住む男に殴打され、死亡した。亡くなる前、彼女がバス停に夜通し座っていたり、パンを食べたりしている姿を、周囲の人たちが目撃している。 この事件を重く受け止め、考え続けている人たちがいる。詩人の平田俊子さん(65)もその一人だ。何度も現場に足を運び、手を合わせる。「彼女を身近に感じる。彼女だけではなく、家をなくした人たちに自分が重なり、言葉があふれてきた」。そのようにして書いた詩「『幡ケ谷原町』バス停」が『現代詩手帖』(思潮社)の1月号に掲載された。平田さんと一緒に、現場を歩いた。(共同通信