第1章:はじめに私の名前はひろはたゆきちという。本名ではない。 絵とは一切無縁の仕事をする会社員の傍ら、ゆるゆるとらくがきをしているきつね顔の人間だ。 この1年は個展を開催したり、絵の仕事も頂いている。ありがたい限りである。 さて、絵の練習変遷に移る前に、簡単に前置きを話そうと思う。 まず「絵を描こう」と思い立ったのは2022年の3月だ。 地元で入退院を繰り返す祖父に対し私に何かできることはないかと考えたとき、ふと素人ではあるが絵を描いて贈ろうと思ったのがきっかけである。病気で食事や活動に制約があるので、絵なら何も気にせず渡しやすいだろうという安易な発想だった。 そこから1ヶ月かけてスケッチブックいっぱいに私の大好きな動物の絵を描いた。 意気揚々とポストに投函したその1時間後、地元にいる姉から電話があり祖父が急に旅立ったと聞いた。 「余命あと1年かもしれない」と医者に診断されたその日に旅立