-本を読んだら理解できるか?- 私が40代の時だった。私の後輩でなんとなく気が合う人がいた。その人は私より10歳も若かったし、まだ独身だったから私とはかなり違った人生を歩いていたと思うが、それでも何となく親しみが感じられる人物だった。 その人は技術者で議論をしているとかなり優れたところもあるし、またプライドも高い。性格的には少し癖があって、誰とでも巧くやっていけると言うことでもなく、そして技術者にはありがちなことだが、何かに拘ると攻撃的になり、人を非難するようになる。 彼は人柄がよいので、きっと少し時間が経つと「ああ、あんなこと言わなければ良かった」と反省することが多いのではないかと思っていた。かく言う私もその一人で、どうしても「事実」や「真実」、時には「正しいこと」に拘り、自分から見て正しくないことを発言したり行動したりする人を許せなくなるのである。 しばらく彼とは仕事が離れ、ご無沙汰を