映画の魅力は細部に宿る。どうせ見るならより多くの発見を引き出し、よりお得に楽しみたい。「仕事と人生に効く 教養としての映画」(PHP研究所)の著者、映画研究者=批評家の伊藤弘了さんが、作品の隅々に目を凝らし、耳を澄ませて、その魅力を「よくばり」に読み解きます。 30秒間のCMを構成するショットの数は、それぞれ16と17で大差はない。映像の流れや、映像を構成するショットの内容もほぼ共通している。 日経電子版(日本経済新聞電子版)のテレビCMの話である。CMは二つ用意されており、それぞれ女性(杉咲花)と男性(池松壮亮)をメインに起用している。いずれも日本電子版の「初割」キャンペーンの特設サイトおよび日本経済新聞のYouTubeチャンネルで公開されている。 短時間の映像で視聴者を何らかの購買活動に向かわせようとするCMと、比較的長い時間をかけて観客を物語の世界に誘おうとする映画とでは、その様
![広告が映し出すジェンダー・バイアス――日経電子版「2023初割」キャンペーン:よくばり映画鑑賞術](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/22fbfd7fbf9fb13bd1ee12573f0c0293b9c7b371/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2Fd247fcc9b85b413caf66458586629de0%2F29e74728004e437d8b460481e3af029e%2F%25E3%2582%2588%25E3%2581%258F%25E3%2581%25B0%25E3%2582%258A%25E6%2597%25A5%25E7%25B5%258C%25E5%25BA%2583%25E5%2591%258A%25E5%259B%25B39.png)