いまさら、「どうしてそんなにチョコレートが好きなの?」って聞かれたって、私にだってわからない。産声を上げた瞬間からもう好きだったような気さえする。数多ある食べ物の中でも、年々種類の増えるスイーツの中でも、チョコレートだけが私にとって特別で大切で幸せだ。 だってチョコレートは優しい。 くたくたに疲れ果てて泣いてしまいそうな時、心が折れて世界にたったひとりぼっちのような気持ちになってしまっても、いつだってチョコレートは優しく慰め、寄り添ってくれた。 仕事を始めたばかりの頃、自分のふがいなさが悔しくて、でも上京したばかりで友人なんてほとんどいなくて、ベッドの下にうずくまりながら頬張る一口チョコだけが温かかった。何もかもが嫌で噛むことさえ億劫な時はじんわり舌の上で溶かす。ゆるゆると広がる甘さがどこまでも優しくて、もう一度頑張れる気がした。 ここぞ、という時に頼れるのもチョコレート。お気に入りの一粒