「……遠すぎるよ、お兄ちゃんの……みんなのいる所。あたしじゃそこまで、行けないよ」――リーファ 川原礫『ソードアート・オンライン』は2002年からネット上で発表されていたオンラインノベルであり、同時に、2009年から電撃文庫で刊行されているライトノベルである。本作を手短に紹介するなら、VRMMORPG、言わば仮想現実の大規模多人数同時参加型オンラインRPGの姿を描いた小説ということになるだろう。まさに同タイトルは作中に登場するオンラインゲームの名称から採用されており、その設定や描写には、実際に『ウルティマオンライン』『ラグナロクオンライン』をプレイした作者の経験が存分に発揮されている。 とはいえ興味深いのは、その「ソードアート・オンライン」が第1巻の時点でクリアされてしまうことである。第2巻で外伝を執筆したのち、川原は「アルヴヘイム・オンライン」「ガンゲイル・オンライン」「アンダーワールド