今年のノーベル賞に日本人研究者2人が選ばれた。自然科学分野では近年、日本の受賞が相次いでいる。日本の学術水準の高さを示すものとして歓迎したいが、今後も受賞が続くか疑問がある。若手研究者を取り巻く環境が厳しさを増す一方、中国などが論文を量産し、学術分野で日本の地位が低下しているからだ。 2000年以降の日本の自然科学系の受賞者は16人(米国籍の2人を含む)で、国別では米国に次いで2位だ。宇宙の謎に迫る素粒子観測から私たちの生活を変えた青色発光ダイオードまで受賞分野も幅広い。 ただ、受賞者の多くは20〜40年前の業績が対象となっている。 物理学賞に決まった梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(56)が卒業した埼玉大の山口宏樹学長(63)は、埼玉県内の高校から埼玉大、東大大学院を経て研究者の道に進んだ。梶田氏とまったく同じルートだ。 山口学長は「当時は、学生に対する教員の数が今より多く、国からの予算も