兵馬俑は、死後の世界で秦の始皇帝に仕えるために作られた。(PHOTOGRAPH BY IRA BLOCK, NAT GEO IMAGE COLLECTION) もし、あなたの家の蛇口が光沢のある銀色だったら、おそらくクロムめっきが施されているだろう。このさび止め技術の実験は、19世紀にヨーロッパで始まった。しかし40年ほど前から、研究者やメディアの間では、クロムめっきの起源について別の仮説が広まっていた。クロムめっきは、紀元前3世紀の中国で発明されており、秦の始皇帝陵に兵馬俑とともに埋葬されていた青銅の武器のさび止めに使用されたという説だ。兵馬俑の遺跡がある西安の博物館でも、こうした説明が表示されている。(参考記事:「4.8億円相当、兵馬俑の親指を盗んだ男を逮捕」) この仮説が登場したのは、世界遺産にも指定されている始皇帝陵が発見された1970年代だ。発掘作業の初期、出土した青銅の武器の保