(以下、札幌で言ったことの大雑把なまとめ。) 1 シュッツ、あるいはプロトEMについて 1;基本的確認 リンチは非懐疑主義的ウィトゲンシュタインとの連携で有名だが、この本の中で改めて気になったのはポスト構造主義、特にデリダに対するそのシンパシーの表明。本書でリンチがデリダから何らかのインスピレーションを受けていることは間違いがない。 そのインスピレーションの核は恐らく;(既存研究/社会学に対するEMの)「寄生parasite」という言葉に表れている。(ただし、この言葉は生物学を意識してのものでもあろうが。) p056(1章結論) ある意味でエスノメソドロジーは社会学という学問領域の寄生者であるが,宿主を抜け殻にしてしまう寄生者と違って,エスノメソドロジーは形式分析の源である「生(胎)」を記述することにより,形式分析によって産出された生なき訳解を新たに活性化しようとしているのである. この論