アスベスト(石綿)の吸引や喫煙などにより、強い放射線を出すラジウムが濃縮され、肺に蓄積することを、岡山大の中村栄三教授(地球宇宙化学)らが突き止めた。 放射線が細胞のDNAを傷つけることで、悪性中皮腫や肺がんを引き起こすと見られ、新たな治療法や診断法に結びつく可能性があるという。27日、東京都内で発表した。 悪性中皮腫や肺がんの原因のうち、アスベストはとがった繊維の形状が、がん発症に関与すると考えられてきたが、実際の発病の仕組みは分かっていなかった。 中村教授らは、悪性中皮腫の患者から切除した肺組織から、鉄を含んだ直径数十マイクロ・メートルのたんぱく質の塊(フェリチン)を採取。塊に含まれる成分を調べたところ、海水の数百万~1000万倍も高い濃度のラジウムが含まれていることがわかった。アスベストやたばこの煙に含まれる鉄分が肺の中に吸入されることで、フェリチンの生成が促され、体内に極微量含まれ