ドラマを拝見して、真っ先に思い出したのが、2000年頃、東京を去って行った一人の米系インベストメントバンカーのことである。このドラマの鷲津のように、彼が来日したのは、不良債権ビジネスが日本で始まったばかりの1997年頃のこと。以後3年にわたり、不良債権を額面兆円単位で買い捲ったのである。 送別会の席で彼は、“「不良債権を売ってくれ」と最初に名刺を持って行脚した頃は、行く銀行、銀行で「ウチにはそんな不良債権なんてないですよ。お引取りください」と言われた。だがしばらくすると、「実は、相談したい件がありまして…」と始まった。ふたを開けてみれば、なんのことはない、各銀行とも腐るほどの不良債権を抱えていたんだ”と笑いながら語った。 そんな彼自身、日本に着任するや法律事務所を雇い、倒産法関連のすべての諸規制を英文に翻訳させ、債権回収、担保処分などの日本式手続きについて学ぶという大変なプロセスを経てビジ