2010年8月26日木曜日 伊藤計劃『ハーモニー』と『ダークナイト』と『風の谷のナウシカ』 伊藤計劃さん(1974-2009)のSF小説『虐殺器官』(2007)がハヤカワ文庫で出ているのを知り、ちょうど気になっていた折でもあるので、続編の『ハーモニー』(2008)と併せて読んでみました。 ものすごく面白かったですね。特に後者を通じて強く思うことがあるので、今回書いてみることにしました。 ★『虐殺器官』と意識のモジュール化 話の順序として、『ハーモニー』の前編である『虐殺器官』について簡単に。 『虐殺器官』は9.11以後、各国が国民への監視をあらゆるテクノロジーを動員して強化している世界が舞台です。 米軍の特殊工作員である主人公が、世界各地の紛争地域で虐殺をプロモートしている謎の男を追い求めて西へ東へ出張する…というサスペンスがストーリーの主軸になっています。 ただ、この小説の大