ITへの期待は、スマートシティに代表されるように、大きく変わってきました。本連載では、5年後、10年後、さらには20年後を見据えた長期的なビジョンを描き出すために、ITが果たすべき役割やこれからのシステム像を考察します。前回は、スマートグリッドやスマートシティなど、“スマート”が重要なキーワードに浮上してきた背景を考えてみました。今回からは“スマート”の背景にある情報技術とビジネスについて振り返ってみましょう。 米IBMが2008年に発表した「Smarter Planet」という発想は、一夜にして出てきた訳ではありません。ある種の必然性を持って登場したものです。技術的には、ムーアの法則に代表される半導体の集積度や性能の数十年にわたる指数関数的な進歩と、それにともなう仮想化、コンポーネント化、サービス化の流れがあります。 仮想化がアプリケーション層にまで広がる 特にサービス化はインターネット