【意義】 自己志向のポートフォリオの開発過程はコルブが定立した経験学習サイクルに重なる。同サイクルでは、具体的な経験を省察することによって意味づけ、次なる学習活動へと結びつけていく過程が示される。振り返りによる経験への意味づけを行う自己志向のポートフォリオはまさにこのサイクルを具現化したもの、すなわち経験学習実践だといってよい。この場合自己志向のポートフォリオは1サイクル完結型ではなく、新たな学習活動を志向するサイクル更新・継続型実践である。また別の角度からみると、自己評価力の向上とも深く関わっていることがわかる。自己の潜在的な能力や発展可能性のある方向性を発見するために、自らの内的基準に拠って学習歴を検討していく過程はまさに自己評価力育成の過程であり、ひいては自己主導的学習能力の向上につながる。こうしたポートフォリオ開発の結果として、自己肯定や自己受容、自尊心、自己変革の基盤を得ること