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2010年5月5日のブックマーク (2件)

  • タイタンの妖女 / カート・ヴォネガット - 誰が得するんだよこの書評

    カート・ヴォネガットの代表作。過去・現在・未来にあまねく存在するようになった男の予言と陰謀がある一家を翻弄する話。ストーリーやディティールなんかは荒唐無稽なんですが、その馬鹿らしさを自ら人類への皮肉と冷笑によって茶化しています。全体的に筆圧が高くて合わない人にはきついかもしれませんが、ところどころかなり気合の入ったメタファーがありグッときます。凝った表現が好きな人なら楽しめるでしょう。 たとえばキリスト教の説教師が、人類がいかに罰当たりかを演説するシーンはこうです。 ボビー・デントンは、ぎらぎらと愛のこもったまなざしで聴衆を串刺しにし、それを彼ら自身の罪悪の炭火の上で丸焼きにしはじめた。 扇情的な説教が、群衆に罪深さを自覚させたということですが、翻訳とは思えない情感あふれる一文です。このウィットは評価したい。 ○○に踊らされているにすぎない 反面、人生のくだらなさ・目的のなさというテーマに

    タイタンの妖女 / カート・ヴォネガット - 誰が得するんだよこの書評
  • 「なぜ人を殺してはいけないの?」に、ニーチェがマジレスしたら - 誰が得するんだよこの書評

    どうなるんだろう。 というわけで、ニーチェ「善悪の彼岸・道徳の系譜」の解説です。ニーチェは哲学や政治学をやるのなら必読だと思うのですが、いかんせん文学的な表現が多すぎて何を言っているのかよくわかないと投げ出す人もいるんじゃないですかね。というわけでニーチェの思想で一番使える「相対主義」にしぼって説明します。 通常の哲学とニーチェの哲学の違い 哲学は形而上学とも呼ばれています。メタフィジカルな学問だというのです。つまり物理的・現実的(フィジカル)なことにたいしてどのように人間が取り組むかという、現実(フィジカル)より上位(メタ)の構造・ルールについて研究するのです。たとえば、人間の肉体がどのような仕組みで動いているかというのはフィジカルな話ですが、人間はどのように生きているのか・どう生きるべきなのかというのは、メタフィジカルな話です。 さて、ニーチェがやっているのは通常のメタフィジカルな話で

    「なぜ人を殺してはいけないの?」に、ニーチェがマジレスしたら - 誰が得するんだよこの書評