沖縄配備から満5年を迎えた1日も、オスプレイは故障で飛べずに新石垣空港に居座っていた。何かと象徴的な航空機である ▼「沖縄では毎日オスプレイが飛ぶたびにJアラートで警報すべきだ」というブラックジョークを数人から聞いた。確かに宇宙空間を通過する北朝鮮のミサイルより、数百メートルの頭上を飛ぶ事故多発機の方が現実的な脅威だ ▼今、不安と同盟の実態が怪鳥の翼に乗り、全国に拡散している。大分合同新聞のデスクは「日本がいかに弱腰かを痛感した」と言う。大分への緊急着陸から10日間、政府は米軍から動向を聞き出せなかった ▼だから記者が監視するしかない。沖縄でもずっとそうだ。安保法制の成立で米軍と自衛隊の一体化が深まり、舞台は全国に広がる。各地に飛来するオスプレイが、沖縄に封じ込められてきた軍事負担を可視化する ▼その存在はさらに、内実を見ない安保論議を照らす。単なる輸送機なのに尖閣が危ないから必要だ、とい