東京大学大学院情報学環教授の暦本純一氏は拡張現実(AR=Augmented Reality)研究の第一人者。90年代から,現在提案されている様々なARアプリケーションの原型と呼べるシステムを多数開発・発表してきた。2月26日開催のカンファレンス「AR(拡張現実)ビジネスの最前線」で基調講演をお願いしている暦本氏にARの過去と未来,商用化などについて話を聞いた。 もともとは1990年代の初頭にVR(Virtual Reality,仮想現実)を少し研究していました。“データグローブ”などを使う古典的なVRです。ただ,あれはやはり無理そうな気がしました。特殊な環境でしか使えないだろうと。そこでVRのような方向の研究よりは,もっとリアルワールドに直接作用する研究の方が良いと思いました。 ARを具体的に研究しようと考えたのは92年くらいです。一番最初に取り組んだのは,今ですと「セカイカメラ」とほとん