* * * * 【注意】本稿は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』、『エヴァンゲリオン』シリーズのネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。 * * * * 出発点であり、到達点ではない 『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下『シン』)を観る前に、私が考えていたのは、ループでも並行世界でも続編でもぶん投げでもなく、ちゃんと「終わり」を見せてほしい、ということだった。作中の大人たちの行動と責任を、そして庵野監督の成熟と喪失を見てみたかった。何より作中のシンジ、レイ、アスカら子どもたちを解放してあげてほしかった。それに比べれば、作品として成功か失敗かは二の次に思えた。 2021年3月8日、公開初日の朝、劇場で『シン』を観終えた時、こう感じた。庵野監督は、可能なすべてに決着をつけていた。過剰な欲望の表現ではなく、成熟の道を選んでいた。これまでの『エヴァ』の物語に、登場人物たちの人生に
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