◇「政治的正しさ」超えた「高貴な人間」 竹内好には、いくつもの顔がある。 魯迅をはじめとする近代中国文学の研究者。真珠湾攻撃直後に「大東亜戦争と吾等の決意」を書き、アジア解放の実現に希望をかけた煩悶(はんもん)青年。1960年の安保条約承認強行採決に際して「民主か独裁か」という問いを発し、大学教授の職を辞した活動家。権力に抵抗する民主的主体を確立するために「愛国」の重要性を唱えた革新ナショナリスト。戦後、否定的に扱われていた頭山満や大川周明の意義を再提起したアジア主義者。そして、毛沢東の思想の中に新たな世界の可能性を見出(みいだ)そうとした「近代の超克」論者。 彼の一部を強調すれば「右翼」に見え、別の一部を強調すると「左翼」に見える。現在の「右か左か」という二分法的な価値観では、なかなかきれいに整理ができない。そんな人物が竹内好であり、それゆえに現在でも竹内は多くの人に読まれ続ける。 では
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