『季刊個人金融』2011 年春号 ゆうちょ財団 「我が国の国債管理政策の現状と課題」 北村行伸 一橋大学経済研究所 要旨 本稿は我が国の国債管理政策の現状を概観し、国債発行の多様化と国債市場の発展が国 債管理政策にどのような課題を与えるようになるのかを、海外の実情および研究成果をも とに展望したものである。2008 年のリーマン・ショック以来、先進国が大幅な財政拡大政 策をとった結果、それまで、発展途上国で起こっていた政府債務破綻のリスクがヨーロッ パやアジアの先進国にも広がり、さらには世界経済の本丸である G8 諸国にもその影が忍び 込み始めている。残念ながら、日本政府も債務破綻はあり得ないと言い切れる状況ではな くなってきている。このような認識の下に、国債管理政策もこれまでの伝統的な手法を、 国際的な市場重視の視点から見直し、日本銀行や金融庁との連携の確認や国債に関連した 法的枠組みを