国連事務総長を「ばか」と呼び、暴言でオバマ米大統領との会談をおじゃんにする。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領(71)の言動が物議を醸している。9月末にはナチス・ドイツの大虐殺(ホロコースト)を持ち出し、「私も麻薬中毒者を喜んで殺したい」と発言。4日には、またオバマ氏を「地獄に行け」とののしった。変わり者に見えるが、国内人気はきわめて高い。なぜなのか。 「中国が支配する島の近くに水上バイクで行き、旗を立てる」「犯罪者は殺してマニラ湾の魚のえさにしてやる」。昨年11月下旬、他候補より遅れて大統領選に立候補したドゥテルテ氏は、過激な発言で国民の心をつかみ、今年5月の選挙で大勝した。 もともと名物市長だった。検察官を経て1988年、「犯罪撲滅」を掲げ、強盗や殺人が頻発していた南部ミンダナオ島ダバオ市長に当選。大型バイクを乗り回し、犯罪者の射殺も辞さない取り締まりで「ダバオのダーティハリー」