死後20年以上を経てから大人気となった政治家・田中角栄には「越山会の女王」と呼ばれる愛人がいました。”闇将軍“の金庫番として絶大なちからをふるう彼女の存在は周知の事実でしたが、そのことが問題とされることはまったくありませんでした。後年、正妻の娘である眞紀子氏や愛人の娘が、“父親の不倫”“愛人の子ども”という境遇にどれほど苦しんだかを告白しています。 「時代がちがう」というかもしれませんが、興味深いのは、角栄の愛人の存在が公になった1970年代は、いまよりはるかに不倫にきびしかったことです。当時のテレビドラマには、不倫が発覚して夫の両親が嫁の家族に土下座して謝る、というような場面が出てきました。小指を立てた男性が「私はこれで会社を辞めました」と語る禁煙グッズのCMは、いまでは意味がわからないでしょう。 その後、不倫は急速に大衆化して「ありふれたもの」になっていきます。いまでは友人や同僚から不