『火花』に続き、こちらの芥川賞もようやく読了。 お笑い芸人である又吉さんの作品が 「芸人とは何か、どうあるべきか」という骨太な作りとは対称的に、 専業作家である筆者のこちらの作品の方が ひねくれたユーモア感覚が突出していて面白かった。 タイトルは「スクラップ(解体する)=老人」 と 「ビルド(構築する)=若者」の物語かと思いきや、 読み進むにつれ、そんな単純なものではないことに気づいた。 介護する側、される側の苦悩を描いたというシンプルな物語ではない。 祖父の面倒を見る孫孝行という形式で物語は進行していくが、 実は、孫にこそ「スクラップ・アンド・ビルド」が起こっている。 祖父の介護をする過程で、孫は自らの人生を構築していく。 無職で就職活動中の孫が、祖父の介護を通して社会復帰を目指す。 それまでの甘ったれのクソガキから、 責任ある大人へ成長していくというのがこの作品のメインテーマ。 「早う