文:志賀佳織、写真:斉藤順子 杉本つとむ(すぎもと・つとむ)早稲田大学名誉教授 1927年、横浜生まれ。早稲田大学文学部卒業。早稲田大学文学部教授を経て、現職。オーストラリア国立大学招聘教授をはじめ、モスクワ大学招聘教授、オランダ・ライデン国立大学研究員、北京日本学研究センター講師など、海外でも日本語学の教員を務めた。『杉本つとむ著作選集』のほか、『語源海』『蘭学三昧』『馬琴、滝沢瑣吉とその言語生活』など著書多数。 ――「こんな言葉にこんな漢字をあてるんだ」「え、この漢字ってこういうふうに読むの?」 と驚きながら、どんどん頁を繰っていってしまいました。漢字って面白いですね。 「宛字」というのは、中国の文字である漢字を、本来の日本語にあてた場合をいいます。日本には本来、文字というものがなかったんですね。そこに古代、中国から漢字が入ってきて、それを借用しました。借りた漢字で日本語をどう活用する