閉ざしてはいけない「負の歴史」 ―このたび上梓された『帰郷』は太平洋戦争をテーマに全6編を収録した短編集です。これまでにも『終わらざる夏』をはじめ、浅田さんは多くの戦争小説を発表し、ライフワークだと公言していますね。 辛い話は読みたくなくても、誰かが書かなければいけないことでしょう。僕は昭和26年生まれなので戦争は直接知らないけど、父が戦争に行った世代なんです。母も戦時中は勤労動員されていた。戦争の手触りは感じている。だから書くことはできるんじゃないかと。 戦争を書くことは自分の使命だと思っています。 ―最初に収録された表題作は、戦争が終わって懐かしい故郷に帰ってきた男が予想外の悲劇に見舞われます。 こういうことは実際にあったと思いますよ。昭和20年8月15日の終戦の時点で、陸軍だけで500万人以上の兵隊がいたわけだから。生死不明の人もいれば、間違って戦死公報が届けられた人もいたでしょう。
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