作者:ジャンナ ・レヴィン 翻訳:田沢 恭子、松井 信彦 出版社:早川書房 発売日:2016-06-16 本書は発売(6/16)とほぼ同日に重力波2度目の観測成功が発表され、即日で重版が決まったというあまりにも出来過ぎな1冊だ。とはいえ単なる偶然と片付けるのも味気ない。これは、人類がこれまで観測できなかった「音」が宇宙に満ちている1つの「確証」であるのかもしれない。 もう少し具体的に紹介すると本書『重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』は重力波発見に至る経緯、検出のための観測所を組みあげるため奮闘した科学者たちの人生を通して、重力波が満ちている宇宙を解き明かしていく一冊である。重力波について現時点での絶好の入門書であるし、最初は実在すら危ぶまれる中、重力波の存在にキャリアを賭けた科学者らのどこか不器用な政治的駆け引きと確執を含んだドラマとしても素晴らしい。 本書は、重