出口の見えない不況の中で、消費者の財布のヒモは一向に緩む気配がない。節約志向が定着し、百貨店や大手スーパーの売上高が右肩下がりのカーブを描いているのはご存じの通り。 こうした現象は、高額な衣料品や食品だけでなく、我々に身近な書籍にも及んでいる。世に言う「出版不況」である。 今回は、逆風にさらされる出版・書店業界で、最近とみに注目を集めている現象に焦点を当てる。キーワードは、店員の「ソムリエ化」である。 出版業界で開催された「カリスマ書店員を囲む会」 9月初旬の週末、都内の居酒屋で総勢50名程度が参加した懇親会が開かれた。参加者の大半は大手、中堅・中小出版社の営業、編集担当者だ。 ここまでは出版業界のイベントとして珍しいことではない。だが、招かれた数人のゲストが特殊だった。そのゲストとは、地方書店の店員と店長たちである。 なぜ彼らが招かれたのか。それは、彼らが「売れ筋の書籍を見出す目利き」(