■佐賀県の武雄市立図書館に続いて、海老名市立図書館(神奈川)でも選書問題が取り沙汰された〝TSUTAYA図書館〟。愛知県小牧市では、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の共同企業体による新図書館建設構想を白紙撤回する事態にまで発展した。さらに、海老名市立図書館の運営をめぐって、共同企業体として協業するTRCがCCCに関係解消を申し入れる騒動も起こった(結局、両社は共同運営を継続)。この一連のTSUTAYA図書館問題の根本にあるのは、図書館のあり方であり、方針に基づく選書や蔵書の問題である。また、選書や蔵書をめぐっては、出版界と図書館のシンポジウムにおいても「図書館は文庫やベストセラーではなく、個人では購入できない高額な本を蔵書してほしい」などの意見が挙がることも多い。ここでは、『図書館の現場9 図書館を計画する』(勁草書房)の著者で逗子市立図書館の小川