2016.03.11更新 3月10日午前2時半。 第74期順位戦B級2組最終一斉対局の結果、彼がB級1組への逆転昇級を果たしたことを知った。 直後のインタビューには「名人」という文字があった。 棋士の言葉だった。 3月10日午後11時半。 電話越しの彼は、いつもの彼だった。 でも、微かな高揚の体温を声の中に感じ取った。 いや...まだちょっと信じられないです。 聞いた時は驚き以外になかった。 正直、上がれるとは思っていませんでした。 父を1月に突然亡くして、気持ちが沈んだ中で将棋を指してしまっていました。 俺はプロなんだから、なんとかしろよ、と思っていましたけど...。 普通の心ではいられなかった。 心にポカンと穴が空いてしまっていました。 だから、父が導いてくれたとしか思えない。 名人を諦めるな、と言ってくれている気がします。 僕は父に将棋を教わったんです。 6歳の時、保育園で女性の先生