第157回芥川賞は、沼田真佑さん(38)の「影裏(えいり)」(文学界5月号)に決まった。19日に東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた選考委員会の後、委員の高樹のぶ子さんが会見に臨み、選考経過について説明した。 ◇ 「選考においては大変な対立がありました。ほとんどケンカ状態です。当事者の一方が私でしたので、もう一方の委員の意見を私が説明できるかどうか…。はなはだ心もとない限りです。まず、選考過程の大きな流れを申し上げます。4作品の中で、最初に温又柔(ゆうじゅう)さん(37)の『真ん中の子どもたち』(すばる4月号)が外れました。次に、古川真人(まこと)さん(28)の『四時過ぎの船』(新潮6月号)が落ちました。最後に、今村夏子さん(37)の『星の子』(小説トリッパー春号)と受賞作が残り、決選投票となりました」 「受賞作については、最初から過半数以上の得点を取っていました。受賞作に選ぶためのいろい