せっかく救助されて父親と再会できたというのに、インタビューで彼女はそう答えた。まだ津波で孤立して助け出されていない人がいるからだそうだ。彼女は見る限り結構若かった。自分も若いが、若い人間の中にはこういうコメントをスルリと言ってしまえる人が結構いる。さっきパソコンの前にいる自分のところにも弱い余震が来たが、はっきり言って自分(や家族)の身が危ないという時に他人の心配を心から出来る人などいない。みんな自分や家族のことが心配なはずだ。だからこそ、家族と会えて喜んでいる彼女の表情には共感できても、「素直に喜べない」と言った彼女の言葉には欺瞞しか見えてこない。彼女は多分、父親と再会できたという安心感のおかげで「冷静さ」を取り戻したのだろう。その時カメラがまわっていた。言わなければならない、と思ったはずだ。良かったよかったというだけではダメだと。それが素直に喜べない。という言葉となって出てきたんだろう