海水注入の継続を独断で決めた吉田昌郎所長は、東京工業大大学院で原子核工学を修めて、東電に入社以来、一貫して原子力畑を歩んできた。 所長就任前の本店・原子力設備管理部長時代には、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の復旧に取り組んだ。4回目の赴任となる福島第一原発を知り尽くしており、細野豪志首相補佐官は「人を引っ張っていく人。事故対応に欠かせない」とそのリーダーシップを評価する。 4月22日、福島第一原発で陣頭指揮をする吉田所長に会った、原子力委員会専門委員で独立総合研究所の青山繁晴社長も「現場の作業に細かく目配りし、上手に統率していた」と語る。 東電関係者によると、本店などとのテレビ会議では、現場の状況を無視した指示に対し、「現場を見てから判断しろ」などと、厳しい口調で主張することが多いという。 現場を大切にする指揮官像が浮かび上がるが、その一方で「本店の言うことを聞かない。自信家」との